最判昭33.3.28:「通達」により課税品目の変更ができるか?

最判昭和33年3月28日(昭和30年(オ)第96号)は、パチンコ遊戯台に関する事案です。改めて、この判決について説明いたします。

  1. 事案の概要:
    • 財務省(当時の大蔵省)の通達により、パチンコ遊戯台が遊戯機器として物品税の課税対象とされました。
    • パチンコ遊戯台の製造業者がこの課税処分を不服として訴訟を提起しました。
  2. 争点:
    • 通達によってパチンコ遊戯台を物品税の課税対象とすることが適法かどうか。
  3. 最高裁の判断:
    • 最高裁は、この通達による課税を適法と判断しました
  4. 判決の理由:
    a) 法律の解釈:
    • 物品税法が「遊戯具」を課税対象としており、パチンコ遊戯台がこれに該当するかは解釈の問題だとしました。
    b) 通達の性質:
    • 通達は法規としての性質を持たないが、法律の解釈を示すものとして認められるとしました。
    c) 解釈の合理性:
    • パチンコ遊戯台を「遊戯具」に含めるという解釈は、法律の文言や趣旨に照らして合理的だと判断しました。
    d) 新たな立法ではない:
    • この通達は新たな課税要件を創設するものではなく、既存の法律の解釈を示すものだとしました。
  5. 判決の意義:
    • 通達による法律解釈の範囲と限界について、重要な指針を示しました。
    • 法律の文言の範囲内での解釈であれば、通達による具体化が認められることを示しました。
  6. その後の影響:
    • この判決は、通達による法律解釈の許容範囲について、重要な先例となりました。
    • ただし、通達による解釈が法律の趣旨を逸脱する場合は違法となる可能性があることも示唆しています。

この最高裁判決は、通達の法的性質と効力について重要な判断を示したものとして評価されています。ただし、租税法律主義との関係で、どこまでの解釈が許容されるかについては、その後も議論が続いています。

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