最判平14.4.25(司法書士会は会員から会費を徴収して被災地への寄付ができるか?)

最判平14.4.25群馬司法書士事件は、地震被災地への寄付に関する判例です。

最判平14.4.25群馬司法書士事件(平成14年4月25日最高裁第一小法廷判決)

  1. 事件の概要:
    群馬司法書士会が阪神・淡路大震災の被災地への義援金として、会員から特別会費を徴収することを決議しました。これに対し、一部の会員が特別会費の徴収は司法書士会の目的の範囲外であるとして、決議の無効確認を求めて提訴しました。
  2. 争点:
    司法書士会が地震被災地への義援金として特別会費を徴収することが、司法書士会の目的の範囲内の行為であるかどうか。
  3. 最高裁の判断:
    最高裁は以下のような判断を示しました。

a) 司法書士会の目的は、司法書士の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことにある。

b) 地震被災地への義援金の寄付は、司法書士会の本来の目的とは直接の関係がない。

c) しかし、このような寄付が司法書士会の社会的評価を高め、ひいては司法書士の品位の保持等につながる場合もある。

d) 寄付の目的や額が社会通念に照らして相当とされる範囲を逸脱しない限り、司法書士会の目的の範囲内の行為として許容される。

  1. 判決の結論:
    本件の特別会費の徴収決議は、司法書士会の目的の範囲内の行為であり、有効である。
  2. 判決の意義:
    この判決は、法人の目的の範囲を柔軟に解釈し、直接的には目的と関係のない行為であっても、間接的に目的達成に資する可能性がある場合には、目的の範囲内の行為として認める立場を示しました。また、公益的な寄付行為について、法人の社会的責任の観点から肯定的に評価しています。

この判決は、法人の目的の範囲に関する重要な先例となり、特に公益的な活動に関する法人の裁量を広く認める方向性を示したものとして意義があります。

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