最判平10.4.24(債務不履行による損害賠償請求権の時効)

最判平成10年4月24日(平成7年(オ)第2472号)は、契約に基づく債務の履行不能による損害賠償請求権の消滅時効の起算点について判断した重要な判例です。


判決の概要

本判決では、契約に基づく債務の履行不能による損害賠償請求権の消滅時効は、本来の債務の履行を請求し得る時から進行すると判示されました。

これは、債務の履行が不能となった時点ではなく、債権者が本来の債務の履行を請求できる時点、すなわち履行期から消滅時効が開始することを意味します。


具体的な解説

  1. 消滅時効の起算点
    • 本判決により、債務不履行による損害賠償請求権の消滅時効は、債権者が本来の債務の履行を請求できる時から進行すると明確にされました。
    • これは、債務の履行が不能となった時点ではなく、契約上の履行期から時効が進行することを示しています。
  2. 債権者の注意点
    • 債権者は、履行期から消滅時効が進行するため、債務の履行が不能となった時点で損害賠償請求を行う場合でも、履行期からの時効期間を考慮する必要があります。
    • したがって、履行期から一定期間が経過している場合損害賠償請求権が時効により消滅している可能性があるため、注意が必要です。

関連する法的規定

  • 民法第166条第1項(旧法)
    • 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
      • 一 債権者が権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
  • 民法第415条
    • 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。

判例の意義

本判例は、契約に基づく損害賠償請求権の消滅時効の起算点について明確な基準を示したものです。

これにより、債権者は履行期から消滅時効が進行することを認識し、適切な時期に権利行使を行う必要があります。

また、債務者にとっても、履行期からの時効期間を経過した場合、損害賠償請求を免れる可能性があるため、重要な判例となっています。


詳細な判決文は、裁判所の公式ウェブサイトで閲覧できます。

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