最判昭50.2.25(国の公務員に対する安全配慮義務につき損害賠償の時効期間は?)

最判昭50.2.25の判例は、国が公務員に対して安全配慮義務を負うことを認め、その義務違反に基づく損害賠償請求権の消滅時効期間について重要な判断を示しています。

判例の概要

  • 事案: 陸上自衛隊の車両整備工場で勤務していた自衛隊員が、同僚の運転する大型車両に轢かれて死亡しました。遺族が国に対して損害賠償を請求しましたが、国は時効を主張しました。
  • 争点: 国が公務員に対して負う安全配慮義務の有無と、その義務違反に基づく損害賠償請求権の消滅時効期間。

判決の結論

最高裁判所は、国が公務員に対して安全配慮義務を負うことを認め、その義務違反に基づく損害賠償請求権の消滅時効期間は民法第167条1項に基づき10年であると判断しました。

判決理由

  • 安全配慮義務: 国は、公務員が公務を遂行するための場所や施設、器具の設置管理、または公務の管理にあたって、公務員の生命や健康を危険から保護するよう配慮する義務を負うとされました。
  • 消滅時効期間: 国に対する損害賠償請求権の消滅時効期間については、金銭の給付を目的とする国の権利及び国に対する権利に関する会計法第30条の5年ではなく、民法第167条1項の10年が適用されるとされました。

この判例は、公務員の安全を確保するための国の責任を明確にし、その義務違反に対する損害賠償請求権の消滅時効期間を定めた重要な判断です。

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