最大判昭45.6.24(八幡製鉄事件:法人に人権は認められるか?)
最大判昭45.6.24八幡製鉄事件について、解説いたします。
- 憲法は政党の存在を予定しているか?
最高裁は、憲法が政党の存在を予定していると判断しました。具体的には、憲法が議会制民主主義を採用していることから、政党の存在は不可欠であるとしています。政党は、国民の政治意思を形成し、表明する重要な機能を果たすものとして認識されています。
- 会社が政治資金の寄付をすることは会社の定款に記載された目的の範囲内の行為か?
最高裁は、会社による政治資金の寄付を、定款に記載された目的の範囲内の行為であると判断しました。会社の経済的利益を追求するという目的に照らして、政治資金の寄付が間接的にその目的に資するものであれば、それは会社の権利能力の範囲内にあるとしました。
- 憲法の人権規定は法人にも適用されるか?適用されるとしたら会社は政治資金の寄付をする自由を有するか?
最高裁は、憲法の人権規定が法人にも適用されると判断しました。ただし、その適用は法人の性質に応じて可能な範囲内でなされるべきとしています。
会社の政治資金寄付の自由については、最高裁は以下のように判断しました:
a) 会社も政治資金を寄付する自由を有する。
b) この自由は、憲法21条(表現の自由)や29条(財産権)に基づくものである。
c) ただし、この自由は絶対的なものではなく、公共の福祉のために必要かつ合理的な制限に服する。
結論として、最高裁は会社による政治資金の寄付を憲法上保護される行為であると認めつつ、その規制の可能性も示唆しました。この判決は、法人の人権享有主体性を認めた重要な先例となっています。
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