最判昭62.10.30
租税法規に適合する課税処分について、法の一般原理である信義則の法理の適用により、右課税処分を適法なものとして取り消すことができる場合があるとしても、法律による行政の原理なかんずく租税法律主義の原理が貫かれるべき租税法律関係においては、右法理の適用については慎重でなければならず、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて右法理の適用を考えるべきものである。
“この文章は、税法に関する重要な法的原則について述べています。要約すると以下のようになります:
- 課税処分が租税法規に適合していても、信義則(信頼保護の原則)によって取り消される可能性がある。
- しかし、租税法律関係では法律による行政の原理、特に租税法律主義が重要であるため、信義則の適用には慎重でなければならない。
- 信義則を適用するには、以下の条件を満たす特別な事情が必要:
- 納税者間の平等や公平性を犠牲にしても、
- 課税を免除することが正義にかなう場合
- このような特別な事情がある場合にのみ、信義則の適用を検討すべきである。
つまり、税法の適用において信義則を用いることは可能だが、それは非常に限定的な状況でのみ認められるべきだということを強調しています。”